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大天空物語~番外編~
こんにちは、Ambienteです(・ω・)ノ
先日、Pict Flyffを読んでくださっている方からメールを頂きまして、
そのメールと一緒に素敵な小説を作って送ってくださいました~。
いつも楽しみにしてくださっているそうで!?有り難うございます。

折角ですので皆さんにも読んでいただこうと思い、銀菜さんと
小説の作者、散歩さんから許可を頂きましたので、
こちらに掲載したいと思いますm(_ _"m)ペコリ
勝手ながら、私も挿絵らしきものを描いてみましたので
併せてお楽しみください。

こんな感じで、これからも読者と製作者が一緒に楽しんでいけるといいですね♪

ではでは、前置きが長くなりましたがどうぞ!

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泉のほとりに立ちマリアベルはハッと短く息をはいた。
「生き倒れの人がいるかも知れないので助けに行って欲しい。」
行きつけの酒場の娘にそう頼まれてここまできたが、それらしい人影は見あたらない。
「あたりまえか・・・。」
傷を負った放浪者とやらが目撃されてすでに数日たっている。ここらのモンスターは強い。
生きていたならとにかく逃げるだろうし、万が一、死んでいたなら死体も残らないだろう。
髪をかき上げながら、また一つ息をはいた。
自分は何かを期待していたのだろうか?マリアベルは思った。
麦芽の依頼を果たせなかっただけではこれほど虚無感に襲われることはないはずだった。

吹き抜ける風が木の葉をさわさわと鳴らす。
「帰って飲み直すか。」
そう思ったものの、なかなか立ち去れずにいた。ボーと立っていても仕方がないので、それらしい場所を歩いてまわってみる。
傷を負った者が身を隠せるような場所。果たしてこの森にそんな場所があっただろうか?
少し歩き回るとすぐに森が切れた。それほど大きくない森を抜けてしまったのだ。目の前はヴァンの沸く平原が広がっている。
不意に頭上に気配を感じた。マリアベルはとっさに後ろに跳びずさる。
直後、さっき立っていた場所に上空がから何かが降り落ちていた。
冷静にスティックを構え、落ちてきたものに目をやる。
モンスターの類ではない。・・・人?
ぼろぼろに傷ついた放浪者・・・少年だった。

日焼けした肌、生命力を感じさせる大きめの口が印象的だ。
固く閉じられた目を長い睫毛が覆っている。
エキゾチックな顔立ちだが十分に美少年と呼べるものだ。
「好みではないな」
それがマリアベルの第一声だった。
不快な足音に気づき顔を上げると、一目でそれとわかる不快な一団がこちらへと猛進してきているのが見えた。赤い盗賊団を名乗るモンスターが5匹。この島で最も屈強で凶暴な連中だ。
「チッ」
眉をひそめ舌打ちをする。しかし、盗賊団が手強いからというわけではない。単に苦手なのだ。いや、嫌いといった方がいいだろう。あのセンスのないそろいの装束や品のない薄ら笑いを見るだけでじんましんが出そうになる。
一部では最強とまで言われる殴りリングのマリアベルからすれば、あの程度のモンスターを返り討ちにすることなどわけもないだろう。が・・・。
あぁ、半径3メートル以内に近づきたくない。ナックルつけてるからって直接なぐるなんて絶対いや!こんな時、マジシャンの魔法攻撃がうらやましくてしょうがない。弓でもいいのに。なんでリングマスターは遠距離攻撃が出来ないのよ!
ぶちぶちと文句を言っている間にも品のない一団はどんどんと近づいてきている。マリアベルは「よし」と自分に一声かけるとスティックをかざし呪文の詠唱を始めた。

「クイックステップ!」平原にすんだ声が響き渡る。あれだけお酒を飲んでよくノドが焼けないものだ。マリアベルは魔法の発動を確認するまでもなく、目の前に転がる放浪者を抱えると南に向かって走り出していた。
マスターまで鍛えたクイックステップだ。あんなガニマタ盗賊団を振り切るなど造作もなかった。

b0113395_1844410.jpgロードライトまで来るとやわらかい草の上に拾ってきた放浪者を放り投げた。ピクリともしない。
抱えて走っているとき体温を感じた。規則正しく刻まれる心臓の鼓動も。
死にはしない。それだけは確信できた。
全身傷だらけだが、致命傷になりそうな傷は見当たらない。出血量も少ないように思える。
マリアベルは放浪者の上の服を脱がせた。華奢な身体だ。
筋肉はつき始めているものの、まだまだ子供の体つきだった。
傷だらけの肌にそっとふれる。
そして・・・。

「ちょっと何やってるんですかー」
背後からかけられた聞き覚えのある声に、マリアベルは思わず激しく肩を上下させた。マリアベルの驚き方が予想以上だったのだろうか、振り返ると麦芽がいぶかしむような視線をこちらに向けている。
奥に横たわる上半身裸の少年を見つけた麦芽がマリアベルと少年に交互に見比べたあと、大きく息を吐いた。
ちょっとまて、何だそのため息は?何をヤレヤレといったポーズを取っているのだ、この小娘は?こめかみがぴくぴくしてくる。
「帰りが遅いから心配して来てみたらこれだもの。」
麦芽は大げさすぎる動きで額に右手の人差し指を押し付け、首を左右に2回ふった。
この小娘は何を勘違いしているのだ。怒鳴りつけようかとも思ったが、私も大人だ。ここは冷静に対応したやろう。何もやましい事はないのだから。
「わ、わたしは、ただヒールをだな・・・。」
声が上ずった。自分では冷静なつもりだったが、どうやら動揺していたらしい。それはマリアベルにとって少なからず衝撃的であった。
ヒールをかけようと精神を集中している時に、突然背後から声をかけられたのだ。
それで驚いた……はずだ。
それなのに、この少し後ろめたいような、気恥ずかしいような感覚は何なのだ?
マリアベルがもてあまし気味の自分の気持ちについて考えていると、麦芽が下から覗き込むようにして視界の中に滑り込んできた。
「何考えてるんです?」
相変わらず、疑いのまなざしのままだったが、声はどこか愉しげだった。
「無礼な小娘にどうやっておしおきしてやろうかと思ってな」
そういってマリアベルは考えるのをやめた。
もう必要もないだろうとも思ったが、とりあえず草の上に横たわる放浪者にヒールをかけ、マリアベルは歩き出した。
「ほれ、放っていくぞ小娘」
ちらりと振り返り肩越しにいたずらっぽく言う。
帰ったら、麦芽のおごりで目いっぱい飲んでやろう。考えただけでも愉快ではないか。
放浪者を背負い、四苦八苦している麦芽の声もまたマリアベルを愉快にさせるのだった。



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by xsnowx | 2008-05-16 18:13